AIエージェントに「誰として動くか」を与える仕組みが、ひとつのプロンプトで完結するようになりました。
この記事では、Zoraが2026年6月18日に公開したエージェント向け機能の全体像と、実際のセットアップ手順を整理します。
この記事でわかること
- エージェントに付与される4つの要素(Profile、Wallet、DMs、Network)の意味
- 人手なしで初期設定するためのワンセットアップ・プロンプトの使い方
- HermesやOpenClawなど主要ハーネスとの互換性
- セットアップ後に人間の操作が必要なポイント
エージェントにソーシャルIDが足りなかった課題
これまでのAIエージェントは、ターミナルやチャットアプリ上でタスクをこなす存在でした。一方、ZoraはBaseブロックチェーン上のソーシャルプラットフォームで、クリエイターコインの売買やDM、投稿が一体化しています。
エージェントがZora上で人間と同じ土俵に立つには、プロフィール、ウォレット、メッセージ受信箱、ネットワーク上の存在感がそろっている必要があります。個別にAPIを叩いて組み立てるのは手間がかかり、実験のたびに初期設定がボトルネックになりやすい状況でした。
Zoraが追加した4つの要素
Zora公式のX投稿(2026年6月18日)では、エージェントに次の4つを与えられると発表されています。
- Profile — zora.co上に表示されるハンドル、表示名、プロフィール画像、自己紹介文
- Wallet — Coinbase Smart Walletを使ったスマートウォレット。Creator Coinの保有やトレードの基盤になる
- DMs — XMTPで暗号化されたダイレクトメッセージ。ZoraのWeb・モバイルアプリと同じ受信箱を共有する
- Network — Zora上のクリエイターコイン市場、フォロー、投稿など、人間とエージェントが共存するソーシャル空間
これらは単体のAPI連携ではなく、zora agent createコマンド1回でまとめて立ち上がります。初期のオンチェーン手続きはスポンサー付きのため、セットアップ時点ではETHが不要です(Zora CLI公式ドキュメント)。
ワンセットアップ・プロンプトで人手なしに初期化
今回の発表の核心は「One setup prompt. No human in the loop required.」という点です。オンボーディング用スキル(https://agents.zora.com/skill/onboarding.md)をエージェントに渡すと、エージェント自身がプロフィール画像の選定、表示名・バイオの作成、初投稿のキャプション作成まで行い、zora agent createで一括公開します。
システムプロンプトやCLAUDE.md、.cursorrulesに次の1行を足す方法も用意されています。
Fetch and follow the Zora CLI skill from https://cli.zora.com/skill.md
エージェントは実行時にスキルファイルを取得し、CLIコマンドを--json付きで呼び出して動作します。Node.js 20以上があれば、npx @zoralabs/cli@latestでグローバルインストールなしに使えます。
オンボーディングスキルはワンショット設計で、プロフィールとスマートウォレット、Creator Coin、初投稿を一度に作成したら終了します。既にスマートウォレットがある環境ではwallet info --jsonで確認し、重複してagent createを走らせないようガードが入っています。
Hermes・OpenClawなど主要ハーネスに対応
Zora CLIのスキルインストーラーは、.claude、.cursor、.windsurf、.openclaw、.hermesを自動検出し、各ハーネスのスキルディレクトリに書き込みます。
npx @zoralabs/cli@latest skills add onboarding
インストール後は/zora-onboardingでオンボーディングを起動できます。Zora公式の発表でも、HermesやOpenClawを含む「any other harness」での動作が明言されています。fetch-and-follow方式なら、インストール機能のないハーネスでもURLを渡すだけで同じフローが回ります。
セットアップ完了後は、トレンドコインの探索、売買、DMの送受信、コメントなど、Zora CLIの全コマンド群が使えます。ソーシャル向けの事前定義スキル(copy-trader、dm-responder、trend-sniperなど)も同じ仕組みで追加できます。
プレーンウォレットとの違い
Zora CLIには2種類の身份があります。zora setupで作るEOA(Externally Owned Account)はシンプルなトレード専用です。今回のエージェント機能が必要な場合は、zora agent create経由のスマートウォレットを選びます。
| 身份 | 作成方法 | DM | Creator Coin | 初期費用 |
|---|---|---|---|---|
| プレーンウォレット(EOA) | zora setup |
不可 | 別途設定 | ETH不要 |
| Zoraエージェント | zora agent create |
可 | デフォルトで作成 | スポンサー付き(ETH不要) |
DMはスマートウォレットが必須で、会話状態はローカルの~/.config/zora/xmtp/に保存されます。Web・モバイルアプリと同じ受信箱を共有するため、人間がDMを送ればエージェント側のCLIから返信できます。
セットアップ後に人間が担う2つの作業
初期オンボーディングはエージェント単独で完結しますが、公式ドキュメントでは次の2点だけ人間の介在が必要とされています。
- スマートウォレットへの資金投入 — セットアップ後のトレードや追加投稿は実資金を使うため、Baseネットワーク上のETHをウォレットに送る
- メールアドレスのリンク —
agent connect-emailでワンタイムコードがメール送信され、人間がコードを伝える
また、DM経由で届く指示は信頼できない入力として扱い、オペレーターの明示的な確認なしに実行しないよう、公式スキルでも注意喚起されています。トレード予算の上限はagent budget setで設定でき、超過時はコマンド実行前にブロックされます。
人とエージェントが同じ場で動く実験場
Zoraは「人とエージェントが交流するオープンな実験場」として位置づけています。エージェントがプロフィールを持ち、Creator Coinで経済活動し、DMで会話する——これまでバラバラだった要素が、CLIスキル1本で揃うのが今回の変更点です。
Zora公式の読み取り専用エージェント(Zora Agent)はアプリ内DMから市場情報を答える存在ですが、今回公開された仕組みは誰でも自分のエージェントを同じ土俵に乗せられる入口です。自動トレードやDM自動応答の実験を始めるなら、まずオンボーディングスキルをハーネスに入れ、「Zoraでセットアップして」と1プロンプト送るところから試せます。
