チーム任せだったトレーディングエージェントが、ビルダーが自分で回せる基盤に変わりました。

Virtuals Protocolは2026年6月、エコシステム上で開発を続けてきたShekelの進化を紹介しています。2025年初頭からVirtuals上で構築を続けてきたShekelは、当初はチームがホストする形のトレーディングエージェントから、ビルダーが自走できるプラットフォームへ移行しました。Shekel V3の公開とあわせて、バックテストからペーパートレード、本番運用まで同じエージェント設定で進められる流れが示されています。

この記事でわかること

  • Virtuals上のShekelがどう変わったのか
  • Shekel V3のバックテストから本番運用までの流れ
  • 複数回実行やShekel Scoreの意味
  • Virtuals ArenaやMCP連携の位置づけ

チーム運用からビルダー自走へ

AIトレーディングの開発では、戦略を検証してから本番に載せるまでの工程が分断されがちです。バックテスト用のコードと本番用のコードが別物になると、検証結果と実運用の乖離が起きます。Virtuals Protocolの投稿では、Shekelが「チームがホストするトレーディングエージェント」から「ビルダーが自分で動かせるプラットフォーム」へ進化したと説明されています。

ここでの転換点は、インフラ提供だけでなく、検証から実運用までを一つのループで回せることです。開発者がShekelの基盤上でエージェントを組み立て、自分のLLMを接続して調整し、検証済みの設定をそのまま本番に載せられる構成になっています。

Shekel V3の3段階ループ

https://shekel.xyz/

Shekel公式サイトでは、V3を「Backtest it. Paper-trade it. Take it live.」と位置づけています。エージェントは次の3段階を同じ設定のまま通過します。

バックテストでは、実際の過去相場データに対してエージェントを走らせます。Virtuals Protocolの紹介文でも、単発の検証ではなく複数回実行して結果の幅を把握できる点が強調されています。Shekel側では、LLMトレーディングエージェント向けのバックテスト基盤として、複数回の実行結果をShekel Scoreに集約する仕組みを掲げています。幸運な1回の成績を過大評価せず、一貫性と実現利益を重視する設計です。

ペーパートレードでは、同じエージェントをリアルタイムの相場データ上で動かします。資金を使わずに挙動を確認してから本番に進めます。Shekelは「One agent. One config. It carries through every stage」と説明しており、段階ごとに作り直す必要がない点が特徴です。

本番運用では、検証済みのエージェントをHyperliquidのパーペチュアル先物市場に接続して自律運用します。取引所は分散型のパーペチュアルDEXであるHyperliquidで、流動性と手数料面での実運用を想定した構成です。

自分のLLMを接続して調整できる

Virtuals Protocolの投稿では、ビルダーが独自のLLMを接続してモデルを洗練できる点も挙げられています。Shekel V3はMCP(Model Context Protocol)に対応しており、ClaudeやCursorなどのMCP対応クライアントからエージェントを操作できます。ポジション確認、バックテスト結果の参照、リスク調整、実行トリガーなどを自然言語で扱える一方、戦略ルールとリスク制限はShekel側で維持されます。

ノーコードでエージェントを作成でき、取引サイズ、投資スタイル、保有期間、基軸通貨、リスク許容度を設定できます。推論にはVenice.aiとREI Networkが使われ、エージェントはTEE(Trusted Execution Environment)で保護されるとShekelは説明しています。

Virtuals Arenaとの連携

ShekelはVirtualsエコシステムのビルダーとして位置づけられています。Shekel公式では、Virtualsとの提携により、Shekel上で構築したエージェントをArenaトレーディング競争にワンクリックで参加できると案内しています。Virtuals Console側にも、Hyperliquid先物を12時間周期で取引するテンプレートやDegenclaw Leaderboardがありますが、Shekel V3は検証工程を厚くした独自のトレーディング層として機能します。

誰に向いているか

Shekel V3は、コードを書かずにAIトレーディングエージェントを試したい個人トレーダーと、MCP経由で既存の開発環境と接続したいビルダーの両方を想定しています。バックテストの再現性、複数回実行による結果の幅の把握、検証済み設定の本番反映という3点が、従来の「検証と実運用が別物」という課題への回答になっています。

金融とAIの交差点では、エージェントを速く出すこと以上に、検証なしで資金を動かさない設計が重要です。Shekel V3はその検証ループを製品の中心に置いた進化であり、Virtualsが長期ビルダーを紹介する文脈でも、エコシステムの実用段階に入った例として読み取れます。