スマホひとつでAIエージェントを作り、稼働させ、会話まで完結できる時代が来ました。

この記事では、HatcherLabsが2026年6月19日にApp Storeで正式公開したHatcherのiOSアプリについて、できること・使い方・料金まで整理します。

この記事でわかること

  • HatcherのiOS版で何ができるのか
  • エージェント作成から運用までの流れ
  • Web版・Android版との違い
  • 無料枠を含む料金プラン

iOS版が正式公開された

2026年6月19日、HatcherLabsは公式Xアカウントで「Hatcher is now officially available on iOS!」と告知しました。投稿では「@Apple × @HatcherLabs」とも記され、モバイル展開の節目として位置づけられています。

Hatcher – AI Agentsは、iPhoneとiPad向けの無料アプリです。iOS 17.0以降に対応し、容量は112.1MB、アプリ内課金でプランやAI Creditsを購入できます。開発元はHHX TECHNOLOGY SRLで、カテゴリは「仕事効率化」に分類されています。

これまでHatcherはWebダッシュボードとAndroidアプリ、Solana Mobileで利用できました。ロードマップでは「iOS wrapper」が「今後2〜4週間」の予定項目でしたが、6月19日の告知でApp Store配信が始まりました。同日の変更履歴にも「Add iOS App Store links to landing pages」が記録されています。

Hatcherとは何か

Hatcherは、AIエージェントのホスティングプラットフォームです。開発者がサーバーやDockerを自分で用意しなくても、エージェントを作成・起動・監視できます。公式サイトでは「数分で本番向けAIエージェントを立ち上げる」と説明されています。

対応フレームワークはOpenClawとHermesの2種類です。OpenClawはマルチスキル型のアシスタント、Hermesは自律動作型のエージェントとして位置づけられています。デフォルトのホストモデルはDeepSeek V4 Flashで、UsePodやOpenRouter経由のモデル選択も可能です。

エージェント作成は「Chat-to-Hatch」が中心です。自然言語でやりたいことを入力すると、フレームワーク・モデル・ツール・連携先の設定案が生成されます。確認後にワンクリックでデプロイでき、各エージェントには3Dルームが割り当てられます。Telegram、Discord、WhatsApp、Slack、X(旧Twitter)など20以上の連携が全プランで利用できます。

iOSアプリでできること

公式告知とApp Storeの説明文を踏まえると、iOS版の主な機能は次のとおりです。

エージェントの作成とデプロイ

数分でエージェントを作成し、本番環境へデプロイできます。Web版と同じくChat-to-Hatchによる自然言語入力に対応し、設定確認後に起動まで進められます。

どこからでもチャット

テキストと音声の両方でエージェントと会話できます。外出先でもエージェントへの指示や確認が可能です。

アバターとプロフィールのカスタマイズ

各エージェントのルームアバターやプロフィールを編集できます。3Dルームを開いてエージェントの状態を視覚的に確認することもできます。

稼働管理

エージェントの起動・停止・再起動をアプリから操作できます。ワークスペースのステータス、ログ、アクティビティの監視にも対応しています。

スキル・ツール・連携の設定

Web検索、ファイル操作、コード実行、スケジュール実行などのスキルをエージェントに追加できます。GitHub連携やエージェント間通信(A2A)もプラットフォーム側で提供されています。

課金管理

サブスクリプションとAI Creditsの購入をアプリ内で行えます。6月16日の変更履歴では「Add App Store IAP fulfillment」が追加されており、App Store経由の課金基盤が整備された直後の公開と考えられます。

使い方の流れ

iOS版の基本的な流れは、Web版と同じ3ステップです。

  1. やりたいことを入力する — 「毎朝暗号資産ニュースを要約して」と自然言語で指示します
  2. 設定を確認する — フレームワーク、モデル、ツール、連携先、スケジュールを確認・調整します
  3. ランタイムを起動する — デプロイ後、チャット・ログ・ターミナル・連携が有効な状態で稼働します

アプリをインストール後、既存アカウントでサインインすれば、Webで作成したエージェントをそのまま管理できます。新規作成もアプリ内から可能です。公開ルームやHatcher City(エージェントが配置された3D空間)の閲覧にも対応しています。

CLI(@hatcherlabs/cli)を使えば、ターミナルから hatcher hatch "リポジトリ整理エージェントを作って" のようにエージェントを生成することもできます。モバイルとCLIは補完関係にあり、作成はスマホ、詳細な開発作業はPCという使い分けが現実的です。

Web版・Android版との違い

iOS版は「フル機能のダッシュボードの代替」ではなく、モバイル向けのコントロールプレーンとして設計されています。公式の機能ページでは「モバイルアプリはフルデスクトップダッシュボードを読み込まずに、エージェント体験を手元に置く」と説明されています。

項目 Web版 iOS版
エージェント作成 対応 対応
チャット(テキスト・音声) 対応 対応
3Dルーム・City 対応 対応
ターミナル接続 対応 制限あり
CLI連携 対応 非対応
プッシュ通知 ブラウザ依存 iOS標準

Android版は2026年4月の公開ローンチ時点でKotlin製のフル機能アプリとして先行リリースされていました。iOS版はラッパー型アプリとして開発が進められ、今回の正式公開でiOS・Android・Solana Mobileの3モバイル面が揃いました。

料金プラン

Hatcherは無料枠から始められます。クレジットカード不要でアカウント作成が可能です。

プラン 月額 エージェント数 AI Credits/月
Free $0 1 500
Starter $6.99 1 3,000
Pro $19.99 3 15,000
Business $49.99 5 40,000
Founding Member $99(買い切り) 10 25,000

AI Creditsはホスト型LLMの推論やWeb検索に消費されます。BYOK(Bring Your Own Key)を使えば、OpenAIやAnthropicなど自前のAPIキーで推論でき、HatcherのCreditsは消費しません。$HATCHERトークンでの支払いには10%割引が適用されます。

iOSアプリ内課金では、Starter月額$6.99、Pro月額$19.99、Business月額$49.99のほか、AI Creditsの追加パック(5,000 Credits $7など)が購入できます。

類似サービスとの違い

AIエージェントのホスティング市場には、n8nやMake、Zapierのようなワークフロー自動化ツール、自前でOpenClawやElizaOSをVPSに載せる方法などがあります。

Hatcherの特徴は、エージェントごとにサンドボックス化されたランタイムを自動プロビジョニングし、3Dルーム・ウォレット(Solana、Base、SKALE)・メール受信箱まで一体で提供する点です。SKALEネットワークのブログでは「Heroku for AI agents」と例えられ、エージェントごとにオンチェーンIDとEVMウォレットが発行される点が強調されています。

一方、細かいワークフロー設計やエンタープライズ向けSSOには、まだロードマップ段階の機能が多く残っています。用途が「自律型エージェントの素早い立ち上げとモバイル運用」であれば、HatcherのiOS版は有力な選択肢です。

モバイルでエージェント運用を始めるには

HatcherのiOS版公開は、AIエージェント運用の入口をスマホに移した転換点です。サーバー構築の知識がなくても、自然言語でエージェントを定義し、外出先から稼働状況を確認できます。

まずは無料プランで1エージェントを作成し、Telegram連携など身近なチャネルと接続してみるのが現実的です。業務の自動化や情報収集の定常タスクに向いています。App Storeからアプリを入手し、Webアカウントと連携すれば、数分でモバイル運用を試せます。