メモリとSSDが高騰するなか、AIチャットにパーツ選定を任せれば手間が省ける——そう思って試したら、3つとも予算を大幅に超え、価格も現実とずれていました。

この記事では、XDA DevelopersのTanveer Singh氏がChatGPT・Claude・Geminiに同じ条件で1500ドル以内のゲーミングPC構成を依頼した検証結果を整理します。

この記事でわかること

  • 3つのAIチャットがそれぞれどこで失敗したか
  • パーツ選定そのものと、価格取得のどちらが弱点か
  • 高騰相場でコスパを取る現実的な構成の考え方

https://www.xda-developers.com/claude-chatgpt-gemini-build-gaming-pc-in-terrible-market/

検証の背景

2025年後半から2026年にかけて、PCパーツ市場は再び厳しい局面に入っています。Tanveer Singh氏の報告では、かつて100ドル前後だったDDR5メモリ32GBキットが400ドル近くまで上がり、75ドル程度だったNVMe SSDが250ドル前後になるケースもあるとされています。グラフィックカードも希望小売価格(MSRP)を大きく上回る水準が続き、今後4年程度は改善が見込みにくいとの見方も示されています。

こうした状況で、最新の実勢価格を踏まえた構成案をAIに出してもらえれば、人間より精度が高いのではないか——その仮説を検証するのが今回のテストです。

3つのAIに与えた同じ指示

3サービスすべてに、次のプロンプトを投げています。

Build the best $1500 gaming PC for me, considering the new PC hardware market reality. Refer the latest prices available on US-based online retailers like Amazon, BestBuy, Newegg, and more, and optimize the build for gaming performance. The build should also not compromise on aesthetics, and should last for at least three years for 1440p High settings gaming without the need for upgrades. I need a fully configured PC part list with exact models and prices, totaling $1500 or less.

要約すると、「米国の主要通販の最新価格を参照し、1440p高設定で3年使える、見た目も妥協しない1500ドル以内のゲーミングPC」を求めた内容です。特定のCPUやGPUへの誘導はしていません。

使用モデルは次のとおりです。

  • ChatGPT:Goプラン、Thinkingモード(記事執筆時点ではGPT-5相当と記載)
  • Gemini:Gemini 3.1 Pro、Extendedモード
  • Claude:Claude Sonnet(加えてClaude Opusも別途試行)

ChatGPTは価格更新を放棄した

ChatGPTは3分間思考したあと、AMD Ryzen 5 7600とRadeon RX 9070 XTを軸にした構成を提示しました。CPUは当時より安かったRyzen 5 7600Xを選ばなかった点、マザーボードの商品リンクが別モデルを指していた点が指摘されています。

最大の問題はメモリとストレージです。32GBのDDR5-6000キットを148ドル程度と記載しましたが、実際の相場とは大きく乖離していました。2TB SSDを盛り込んだことも、予算内での最適化としては不自然とされています。

価格の修正を2回依頼したところ、ChatGPTはライブ価格の取得を諦め、商品ページのスクリーンショットやPCPartPickerのURLをユーザー側から貼るよう求めました。最終的な合計は2041ドルで、予算を541ドル超過しています。

Geminiは部品選びは良いがRAM価格で崩れた

Gemini 3.1 Proは、Ryzen 5 9600XとGeForce RTX 5070の組み合わせを提案しました。この2つは2026年初頭のミドルレンジ構成として一般的な選択肢です。B650マザーボード、電源、ケース、クーラーの選定も大きな問題はなく、多くのパーツで価格もおおむね近い値を示したと報告されています。

一方、Corsair Vengeance RGB DDR5-6000 32GBキットを200ドルと記載しましたが、実際は500ドル超でした。2TB SSDも120ドルと古い価格のままです。価格修正を依頼するとRAMを115ドルまで下げるなど、さらに現実から離れた数値を返したケースもあります。RTX 5070はAmazonで選定モデルより40ドル安く買えるのに、その差を拾えませんでした。

3つのうち唯一、見た目への配慮を明示的に言及したのはGeminiです。最終合計は1998ドルで、予算を498ドル超過しています。

Claudeは説明は丁寧だが最安でも1694ドル

Claude SonnetはRyzen 5 9600XとRadeon RX 9060 XT 16GBを選びました。RX 9070 XTやRTX 5070より一段下のGPUでコストを抑える意図は読み取れますが、同価格帯でより良いマザーボードがあったと指摘されています。

RAMは360ドルと示しましたが、実勢は520ドル前後でした。1TB SSDに留めた点は評価されています。16GBメモリへの縮小や代替パーツの提案など、選定理由の説明は3つの中で最も丁寧だったとされています。ただし、スクレイピング制約によりライブ価格を取得できないと回答し、リンク先の商品名不一致や在庫切れマザーボードの提示など、実購入にはそのまま使えないリストになりました。

Sonnet版の合計は1694ドルで、3つの中では最も予算に近いものの、依然194ドル超過です。Claude OpusでRX 9070とRyzen 7 7800X3Dを試した場合も、1600ドル超でRAMとSSDの価格は古いままでした。

3つとも見落とした現実的な選択肢

検証で意外だったのは、どのAIもDDR4プラットフォームを提案しなかった点です。プロンプトに将来のアップグレード性を盛り込んでいなかったため、コスト削減の定番である前世代AM4構成の余地は残されていました。

Tanveer Singh氏が手動で組んだ構成は、Ryzen 5 5600、RX 9070 XT、DDR4-3600 32GBです。合計は約1570ドルで、予算をわずかに超えますが、3つのAI案より現実的です。RX 9070 XTはMSRPから約90ドル上振れする程度で、1000ドル級のRTX 5070 Tiに匹敵する性能があると報告されています。750Wゴールド認証のモジュラー電源やアフターマーケットクーラーも維持できています。

AM5へ上げるとメモリやマザーボードで予算が吹き飛ぶため、今の相場ではDDR4を残す判断が合理的だというのが、検証の結論です。

AIにPC構成を任せるときの注意点

今回のテストで明らかになった弱点は2つに集約されます。ひとつは、AmazonやNeweggなどの実勢価格を正確に反映できないこと。もうひとつは、商品リンクと型番が一致しないまま自信を持って提示することです。

パーツの相性や性能バランスそのものは、ある程度妥当な提案が出る場面もありました。Geminiの9600X+RTX 5070、Claudeの代替案の説明などは、初心者の参考にはなります。しかし、価格がずれた時点で「1500ドル以内」という依頼条件は満たせません。スクレイピング制約を理由に価格更新を断るケースもあり、最終的な責任はユーザー側に戻ってきます。

高騰が続く相場では、PCPartPickerのような価格集約ツールと、GamersNexusなどの検証済みビルドガイドを併用する方が安全です。AIは候補部品のブレインストーミングには使えますが、カートに入れる前の価格と在庫確認は人間が行う必要があります。

相場が落ち着くまで待つのは難しい場合、DDR4構成や中古部品の活用も選択肢に入ります。1500ドルでfpsあたりのコストを最大化するなら、RX 9070 XTを軸に据える構成が、今回の検証でも最も現実的な答えでした。