複数のAIコーディングセッションを1画面で回すGrok Buildに、エージェント管理の操作性を底上げするv0.2.69が届きました。
この記事では、2026年6月26日付けのリリースノートに記載された新機能と修正点を整理します。Agent Dashboardのpeekパネル強化から、headless出力のJSONスキーマ対応、IDEターミナルでの割り込み操作まで、開発ワークフローに直結する変更点を押さえられます。
この記事でわかること
- v0.2.69でAgent Dashboardに追加された表示・操作の改善
- ツール実行カードやショートカットヘルプのUI変更
grok -pへの--json-schema追加とCtrl+L割り込みの使い道- 同時期のv0.2.68で入ったMCPまわりの変更
v0.2.69で何が変わったか
xAIのターミナル向けコーディングエージェント「Grok Build」は、SuperGrokまたはX Premium Plusの契約者向けに提供されています。2026年5月の公開以降、CLIはほぼ毎日のペースで更新されており、6月26日にはv0.2.69がリリースされました。
今回の目玉は、Agent Dashboardのpeekパネルです。各エージェントが使っているモデル名とモード(Code・Plan・Askなど)が一覧上で確認でき、Shift+Tabでその場からモードを切り替えられます。Inactiveセクションはデフォルトで折りたたまれ、古いアイドルエージェントは「N more」行の背後にまとめられるため、待機中のセッションが増えても一覧が読みやすくなりました。
Agent Dashboardとは
Agent Dashboardは、Grok Buildの複数セッションをターミナル内で俯瞰する画面です。xAIの公式ドキュメントによると、grok dashboardコマンド、セッション内の/dashboard、またはCtrl+\のショートカットで開けます。
https://x.ai/news/grok-build-cli
ダッシュボードでは、実行中・待機・入力待ちのセッションを状態別に並べ、入力が必要なタスクを上に固定表示します。行を選ぶとpeekパネルで最新出力を確認し、ダッシュボードから直接返信できます。複数リポジトリを跨ぐ場合はCtrl+Sで作業ディレクトリごとにグループ化し、サブエージェントは親セッションの下に折りたたまれます。
v0.2.52(6月15日)では、leader modeなしでもダッシュボードが動作し、ディスク上のアイドルセッションも表示されるようになりました。v0.2.69は、この基盤の上に「各エージェントの状態をより細かく把握・操作する」方向の改善が載っています。
新機能の詳細
ダッシュボードとツール表示
peekパネルでのモデル・モード表示とShift+Tab切替以外にも、ツール実行結果の見た目が整理されました。search、directory listing、file deletion、globの各ツールは、これまで汎用MCPカードとして表示されていたものが、用途別のtyped cardとして描画されます。どの操作が走ったかを視覚的に区別しやすくなり、長時間走らせたセッションのログ追跡が楽になります。
キーボードショートカットのヘルプ画面も、説明文が充実し、詳細ビューで折り返しテキストが正しくスクロールするようになりました。ターミナル幅が狭い環境でも、ショートカット一覧の確認が途切れにくくなっています。
headless出力のJSONスキーマ
スクリプト連携向けのheadlessモード(grok -p)に、--json-schemaオプションが追加されました。従来は自由形式のテキストが返る前提だった出力を、指定したJSON Schemaに沿ったオブジェクトとして受け取れます。CIパイプラインやボットからGrok Buildを呼ぶ際、後段処理のパース失敗を減らす用途が想定されます。
IDEターミナルでのCtrl+L割り込み
VS Code、Cursor、Windsurf、Zedの統合ターミナルでは、Ctrl+Lでターン実行中に割り込み(interject)できるようになりました。エージェントが長いコマンドを走らせている最中でも、追加指示を差し込めるため、IDE内でGrok Buildを常用する開発者にとって待ち時間のストレスが下がります。
v0.2.69のバグ修正
操作性以外にも、日常使いで効いてくる修正が5点入っています。
- ホームディレクトリからインストールしたローカルプラグインは、セッション開始時に自動リフレッシュされ、新規エージェントやスキルが即座に反映されます
/contextが、モデルへ実際に送られるツール定義数と一致した値を表示するようになりました- vimモード使用時、ダッシュボードのpeekがリストのフォーカスを奪わず、j/kでの行移動が維持されます
- ダッシュボード上の
/sessions実行でUIが固まる問題が解消されました - エージェントが存在する場合、ダッシュボード起動直後に概要リストへフォーカスが移ります
直前のv0.2.68もセットで押さえたい
v0.2.69の前日、6月26日にはv0.2.68も公開されています。ホスト連携のMCPサーバーをセッション再起動なしで追加・置換・削除できる点、エージェント実行コマンドにGROK_AGENT=1が付与される点は、MCPやフックを組み合わせる環境では地味に効きます。画像添付の実パス保存や/resume時のモデル選択修正も含まれ、エージェント基盤の安定性向上が続いていることが読み取れます。
使い方と既存ツールとの位置づけ
Grok Buildのインストールは、macOS・Linux・WSL向けに次の1行コマンドで行えます。
curl -fsSL https://x.ai/cli/install.sh | bash
インストール後、grok dashboardでダッシュボードを開き、複数リポジトリの作業を並行させます。v0.2.69以降は、peekパネル上でモデルとモードを確認しながらShift+Tabで切り替え、必要なセッションだけ詳細画面へ降りる、という流れが現実的です。
AnthropicのClaude CodeやOpenAI Codex CLIと並ぶターミナルエージェント市場では、モデル性能だけでなく「複数セッションをどう運用するか」が差別化ポイントになりつつあります。xAIは6月15日のAgent Dashboard公開以降、表示・フォーカス・MCP連携・headless出力と、運用面の改善を短いサイクルで積み上げています。v0.2.69はその流れの中で、ダッシュボードを実務の司令塔として使いやすくする更新と言えます。
SuperGrokまたはX Premium Plusへの加入が前提です。すでにGrok Buildを使っている場合は、grok updateで最新版へ上げ、ダッシュボードから並行セッションの管理を試すのが近道です。