ChatGPTに毎回「明日の予定は?」と聞く生活から、AIが先に気づいてくれる生活へ。2026年6月、サンフランシスコのDomus Nextが、家族向け能動型AIエージェント「SuperNori」をパブリックベータとして公開しました。

この記事では、SuperNoriが何を変えるのか、既存のNoriアプリとの違い、どんな場面で役立つのかを整理します。

この記事でわかること

  • SuperNoriとは何か、Noriとの違い
  • 「能動型」とは何を指すのか
  • 主な機能と動作の仕組み
  • 利用開始の方法と現時点の提供状況

SuperNoriとは

https://supernori.heynori.com/

SuperNoriは、Domus Nextが開発する家族向けAIエージェントです。2026年6月25日にパブリックベータが始まり、ウェイトリストから順次参加できます。

Domus Nextは、ByteDanceやSamsung出身のメンバーが2025年に設立したAI企業で、家族のスケジュールや買い物、食事の調整を支援するアプリ「Nori」を既に提供しています。Noriは20万家族以上が利用しており、1日あたり平均9.4回AI機能に触れ、家族ごとに平均23.2件の共有タスクと14件の買い物リストを作成していると発表されています。

SuperNoriは、このNoriの次の進化形として位置づけられています。Domus Nextの共同創業者Isaac Long氏は「Noriは話しかけるFamily AI、SuperNoriは話しかけてくるFamily AI」と説明しています(参考)。

なぜ「能動型」なのか

多くのAIアシスタントは、ユーザーが質問して初めて応答します。一方SuperNoriは、家族の文脈を継続的に把握し、問題が表面化する前に気づいて提案する設計です。

Domus Nextはこの概念を「Proactive Family AI Agent(能動型ファミリーAIエージェント)」と呼んでいます。具体的には、次のような場面を想定しています。

  • 通学ルートに事故が起きたとき、出発時刻の前倒しと送迎手段を提案する
  • 牛乳などの食材が切れそうなとき、共有の買い物リスト更新を提案する
  • 子どものテスト予定を認識し、朝食中に短いクイズを用意する
  • パートナーの会議延長で夕食計画が崩れたとき、近くのレストラン候補を出す

Life360の調査では、米国の親は家族のスケジュール管理に週平均17時間を費やしていると報告されています(参考)。カレンダーに載らない医療予約や学校行事、買い物の段取りなど、「見えない家事」と呼ばれる負担が大きい背景に、SuperNoriは家庭内の調整コストを下げることを狙っています。

動作の仕組みと主な機能

SuperNoriの行動は「通知 → 提案 → 確認 → 実行」の4段階で進みます。家族の許可なく単独で動くことはなく、常に確認を挟む設計です。アクセス範囲や実行タイミングも家族側がコントロールできます。

技術面では、Android Open Source Project(AOSP)の権限フレームワークとHome Assistantエコシステムと連携し、照明・プリンター・温度計などのスマートホーム機器を統合的に扱います。個々のデバイスではなく、家族全体のルーティンと好みを理解するレイヤーとして動作します。

公式サイトで紹介されている活用例は次の4つです。

  • Smart Mornings: カレンダーと道路状況を監視し、最適な出発時刻を通知。送迎の手配まで提案
  • Pantry Intelligence: 家の備蓄を静かに追跡し、翌朝の朝食に合わせた買い物リストをワンタップで作成
  • Family Learning: 子どもの好みを学習し、野菜を隠したバランスの取れた献立案を自動生成
  • Weekly Planning: 家族の味の傾向・スケジュール・栄養目標から週間の食事プランを毎週自動作成

既存のNoriユーザー向けには、学校のカレンダーを写真で撮影して家族カレンダーに一括登録する機能や、音声で覚えておいてほしいことを家族共有メモに残す機能も引き継がれています。

既存の家族向けAIとの違い

Googleカレンダーや共有ToDoアプリは、登録済みの予定やタスクの管理に強い一方、まだ書き込まれていない負担には届きにくいです。SuperNoriは「まだ言語化されていないが、すでにプレッシャーになっていること」に先回りして触れる点を差別化にしています。

また、Domus Nextは能動型AIをゼロから作るより、まず反応型のNoriで信頼と家族文脈を蓄積してからSuperNoriに進化させたと説明しています。買い物の曜日やアレルギー情報、定例の会議時間など、日常の小さなやり取りから学んだ文脈が、提案の精度を支える前提です。

オフィス向けの自律型エージェントが注目を集める中、家庭内の「誰かが黙って支えている人」向けに設計された点も特徴です。スローガンは「The Family AI Agent That Looks After Everyone You Love, and You(愛する人も、あなた自身も見守るFamily AI)」で、最後の「and You」が家族全体の中の担い手個人を意識していることを示しています。

利用方法と提供状況

https://supernori.heynori.com/

SuperNoriは現時点でパブリックベータ段階です。上記サイトのウェイトリストに登録して参加を待つ形になります。SuperNori単体の料金プランは未公表で、正式な一般提供時期も発表されていません。

ベースとなるNoriアプリはiOS・Android・Webで利用でき、共有カレンダー・タスク・買い物リスト・レシピ整理の基本機能は無料です。高度なAI機能は有料サブスクリプションの対象となります(参考)。SuperNoriがどのプランに含まれるかは、今後の発表を待つ必要があります。

家庭のAI活用が示す方向性

SuperNoriの登場は、AIエージェントの主戦場が個人の生産性から家庭の調整へ広がっている一例です。能動的に気づき、確認を経て動くという設計は、プライバシーと信頼のバランスを重視する家庭向けAIの現実的な落とし所でもあります。

20万家族が日常使いしているNoriの上に積み上げられたプロダクトである点は、単発のデモではなく実運用を前提にしている証左です。家族の見守りやストレス軽減にAIを使いたい読者にとって、今後の展開は押さえておく価値があります。