AI広告の見た目が、いきなりゲームの世界に変わる——そんな連携が始まろうとしています。
Zeelyは2026年6月28日、X(旧Twitter)でGemini Omniの統合を予告しました。Minecraft風のブロック世界やファンタジー冒険の舞台で広告クリエイティブを作り、自分自身を物語の主人公に据えられるとしています。マーケターから個人クリエイターまで、動画広告の制作コストと発想の壁を下げる動きとして注目に値します。
この記事でわかること
- Zeelyが予告したGemini Omni連携の内容
- Google Gemini Omniが広告制作にもたらす技術的な意味
- 既存のNano Banana Pro連携との違い
- 500クレジットを受け取る先行キャンペーンの条件
Zeelyとは何か
Zeelyは、商品リンクや写真からUGC(ユーザー生成コンテンツ)風の動画広告・静止画クリエイティブ・Meta向けキャンペーンを一括生成するAI広告プラットフォームです。Video StudioでAIアバターによるトーキング動画や画像から動画への変換、Image Studioでプロンプトからの静止画生成など、制作から配信準備までを1つのアプリにまとめています。
料金はStarterプランが月額29.95ドル(2,500クレジット)、Plusが49.95ドル(5,000クレジット)、Growthが79.95ドル(10,000クレジット)です。サブスクリプションは制作ツールの利用料で、Metaへの広告費は別途発生します。
何が変わるのか
Zeelyの公式投稿では、Gemini Omni統合後に次のような広告制作が可能になると説明されています。
- Minecraft風のブロック世界を舞台にした広告シーンの生成
- ファンタジー冒険の世界観を使ったクリエイティブ制作
- ユーザー自身を物語の主人公として映し込む演出
従来のZeelyは、商品写真1枚からスタジオ品質の静止画を2分以内に生成するNano Banana Pro連携や、500体以上のAIアバターを使ったUGC風動画が中心でした。今回の予告は、静止画やトーキングヘッドの延長線ではなく、ゲーム的な世界観そのものを広告の舞台にするという方向転換を示しています。
Gemini Omniはどんな技術か
Gemini Omniは、Googleが2026年5月に発表したマルチモーダルAIモデルです。テキスト・画像・音声・動画を入力に取り込み、会話形式で動画を生成・編集できます。Google公式ブログでは「あらゆる入力からあらゆるものを作れる」と位置づけられ、最初のモデルであるGemini Omni FlashはGeminiアプリ、Google Flow、YouTube Shortsで提供が始まっています。
広告分野では、Google Marketing Live 2026でAsset Studioへの統合が発表され、2026年夏に英語圏へ順次展開予定です。自然言語のブリーフやブランドガイドライン、Webサイトの内容から動画アセットを生成する流れが、Google Ads内で完結する設計です。
Zeelyがこのモデルを取り込むことで、Googleの広告エコシステム外のMeta・Instagram・TikTok向けクリエイティブにも、Omniのマルチモーダル生成能力が届く見通しになります。
なぜゲーム風の広告が刺さるのか
SNS広告では、スクロールを止める「フック」が成果を左右します。商品を正面から紹介する従来型クリエイティブより、視聴者が物語の登場人物になったような体験型の動画の方が、滞在時間やクリック率の改善につながるケースがあります。
Gemini Omniは参照画像や音声、既存動画を組み合わせて一貫した出力を作れるため、「自分を主人公にしたファンタジー冒険で商品を紹介する」といった演出が、専門の3D制作なしに実現しやすくなります。Google公式ブログでも、ユーザー自身のデジタルアバターを使った動画生成機能が紹介されており、Zeelyの「自分をヒーローにする」という予告内容と技術的に一致します。
ZeelyはすでにSora 2連携によるシネマティック動画や、Nano Banana Proによる高精細静止画生成を提供しています。Gemini Omniは、その上に「世界観ごと作り替える」レイヤーを追加する存在です。
先行キャンペーンの参加方法
Zeelyの予告投稿では、リプライに「GAME」とコメントしたユーザーに500クレジットを配布すると案内しています。Starterプランの月間クレジット2,500の約5分の1に相当し、新機能の試用に使える分量です。
なお、Gemini Omni連携は「coming soon(近日公開)」の段階であり、具体的なリリース日は投稿時点では未公開です。500クレジットの受け取り条件や有効期限についても、Zeely側の追加告知を待つ必要があります。
類似ツールとの違い
Google AdsのAsset Studioも同じGemini Omniを導入予定ですが、対象はGoogle・YouTube向けの広告アセットに限られます。ZeelyはMetaやInstagram、TikTokへの配信を前提に設計されており、SNS広告の制作からキャンペーン起動までを1つのワークフローで扱えます。
CanvaやAdobe Expressのような汎用デザインツールと比べると、Zeelyは商品URLの読み込みから広告コピー生成、A/Bテスト用のバリエーション量産まで特化しています。Gemini Omni統合後は、静止画・UGC動画に加えてゲーム的世界観の動画広告も同じパイプラインで扱える点が差別化になります。
今後の見どころ
ZeelyはGoogleのAIスタックを段階的に取り込む方針を示してきました。Nano Banana Proによる静止画生成に続き、今度はGemini Omniで動画の世界観生成へと範囲を広げています。Google側もAsset StudioでOmniを展開するため、広告業界全体でマルチモーダルAI動画が標準化する流れが加速します。
EC事業者やD2Cブランドにとって、外注費をかけずに複数の世界観を試せるようになるのは大きなメリットです。リリース後は、ゲーム風クリエイティブのCTRやCPAが従来型とどう差が出るか、実データでの検証が次の焦点になるでしょう。