AnthropicのClaudeが、Microsoft Azure上で一般提供(GA)になりました。NVIDIAのBlackwell Ultra GB300という最新GPU基盤の上で動き、エージェント型AIの本番運用を狙った発表です。
この記事では、2026年6月29日に発表された内容を整理します。Azureネイティブな企業がClaudeをどう使えるか、インフラの中身、既存のプレビュー版との違いまで押さえられます。
この記事でわかること
- Claude in Microsoft Foundryの一般提供で何が変わったか
- NVIDIA GB300 NVL72が担う計算基盤の特徴
- Azure上での認証・課金・ガバナンスの仕組み
- 「Hosted on Azure」と「Hosted on Anthropic」の違い
Claude in Microsoft FoundryがAzure本番インフラで一般提供に
https://azure.microsoft.com/en-us/blog/claude-in-microsoft-foundry-is-now-generally-available/
2026年6月29日、MicrosoftはClaude in Microsoft Foundryの一般提供を発表しました。NVIDIAの公式ブログでも同日、ClaudeがAzure上のNVIDIA GB300 Blackwell Ultra GPUで動くと案内されています。
これまで多くの企業AIプロジェクトは、モデルの性能ではなく調達・ガバナンス・ネットワーク・データ管理で止まってきました。今回のGAは、既存のAzureアカウントと契約のままClaudeを本番投入できる道を開く動きです。
推論処理はAzure上で行われ、Anthropicが推論運用とデータ処理者、SLA提供元を担います。Microsoft Entra IDによる認証、Azureのロールベースアクセス制御、既存のガバナンスポリシーがそのまま使えます。機密性の高いワークロード向けには、プロンプトと応答をAPI呼び出し後にAnthropic側で保持しないゼロデータ保持も選べます。
NVIDIA GB300が支えるラック規模の推論基盤
https://blogs.nvidia.com/blog/anthropic-nvidia-gb300-blackwell-ultra-microsoft-azure/
Claude in Foundryは、NVIDIA GB300 NVL72システムとQuantum-X800 InfiniBandネットワーク上で動きます。GB300 NVL72は、72基のBlackwell Ultra GPUと36基のGrace CPUを1台のラックにまとめた、全液冷のラック規模プラットフォームです。
NVIDIAの公式仕様では、高速メモリ37TB、NVLink帯域130TB/s、FP4テンソルコア性能は最大1,440ペタフロップス(スパース時)とされています。推論時の「長考」と呼ばれるテストタイムスケーリング向けに設計され、エージェントが複数の応答候補を評価するワークロードに向いています。
NVIDIAは、GB300上のClaudeで自律型エージェントや業務領域ごとの専門サブエージェントを構築できると説明しています。NVIDIA Verified Agent Skillsにより、加速計算を使ったドメイン特化の能力をClaudeエージェントに組み込めます。さらにNVIDIA Secure Agent Workspace Reference Designは、ID・ネットワークアクセス・認証情報・ランタイムポリシーをインフラ層で制御する自律エージェント運用の設計図を提供します。
企業が使えるモデルとデプロイの選び方
https://platform.claude.com/docs/en/build-with-claude/claude-in-microsoft-foundry
Microsoft Foundryでは、Claudeモデルを2つのホスティング形態で提供しています。
Hosted on AzureはAzureインフラ上でエンドツーエンドに動き、一般提供済みです。Opus、Sonnet、Haikuファミリーの最新モデルのうち、Claude Opus 4.8とClaude Haiku 4.5がこの形態で利用できます。デプロイタイプはGlobal StandardとUS Data Zone Standardに対応し、データ所在地の要件があるチーム向けです。
Hosted on AnthropicはAnthropic自社インフラ上で動き、現在プレビューです。Foundryで提供される全Claudeモデルにアクセスできますが、Azureインフラ完結の調達・コンプライアンス要件を満たすには向きません。
課金はClaude Consumption Units(CCU)で統一され、Azure請求書の1行にまとまります。Microsoft Azure Consumption Commitment(MACC)の消化対象にもなり、別ベンダー契約の調達負荷を減らせます。
Foundry Agent Serviceでエージェントを本番運用する
Claude単体のAPI利用に加え、Foundry Agent Serviceがエージェント構築の中核になります。Claudeを推論コアとして、複数ステップの計画立案、ツール呼び出し、企業システム横断のタスク実行を任せられます。Messages APIに加え、プロンプトキャッシュ、拡張思考(extended thinking)、ツールストリーミングが使えます。
モデルルーターはクエリ内容に応じて最適なClaudeモデルへ自動振り分けし、最大50%のコスト削減とユーザー満足度の向上を狙えます。Foundry Control Planeはエージェント応答を継続評価し、ルール違反の応答をユーザー到達前にブロックします。Microsoft IQと組み合わせれば、社内のライブなコンテキストをエージェントに渡せます。
NVIDIAのJustin Boitano氏は、ClaudeがFoundry上のGB300で使えることで、本番に必要な性能・スケール・セキュリティを備えた専門エージェントをより多くの組織が動かせるとコメントしています(参考)。
2025年11月の3社提携から本番フェーズへ
今回のGAは、2025年11月にMicrosoft、NVIDIA、Anthropicが発表した戦略的提携の延長線上にあります。当時はClaude Sonnet 4.5、Haiku 4.5、Opus 4.1がFoundryでパブリックプレビューに入り、AzureがClaudeとGPTの両フロンティアモデルにアクセスできる唯一のクラウドになると打ち出されました。
半年後の2026年6月、Azureインフラ完結のホスティングが本番提供に到達し、計算基盤がGB300 Blackwell Ultraへ移行した点が大きな変化です。Neowinの報道によると、Anthropicは300億ドル規模のAzure計算容量の購入をコミットし、最大1ギガワットの追加容量も契約する見込みです。NVIDIAとMicrosoftはそれぞれ最大100億ドルと50億ドルのAnthropicへの投資を表明しています(参考)。
Azureを基盤にClaudeとGPTの両方を使える環境は、モデル選択の自由度を高めます。本番投入の障壁が調達とガバナンスにある企業にとって、今回の一般提供は実験から運用への移行を一段速める材料になります。