AIアシスタントからXのデータを扱うには、これまで自作のMCPサーバー構築が必要でした。2026年6月30日、Xはホスト型のModel Context Protocol(MCP)サーバーを正式に公開し、ClaudeやCursorなどのMCP対応ツールから、ユーザー自身のアカウント権限でX APIへ接続できるようになりました。

この記事では、Xの公式MCPサーバーが何を変えたのか、接続方法、スパム対策との関係まで整理します。

この記事でわかること

  • Xが提供する2種類のMCPサーバーと役割の違い
  • 従来の自作連携と比べて何が簡略化されたか
  • ClaudeやCursorでの接続手順の概要
  • 自動投稿ができない理由とAPI料金の最新動向

Xがホスト型MCPを公開した背景

MCPは、AIモデルが外部ツールやサービスと通信するためのオープン規格です。Anthropicが2024年後半に提唱し、2025年12月にはAgentic AI Foundationへ寄贈され、ベンダー中立の基盤として整備が進んでいます。GitHub、Slack、Notion、Stripe、Salesforceなど、主要SaaSが公式MCPサーバーを提供する流れの中で、Xも同列に加わりました。

X APIを使えば、投稿の検索、ユーザー情報の取得、会話やトレンドの分析などは以前から可能でした。ただしAIツールへ接続するには、開発者がMCPサーバーを自前で実装し、ホスティングし、X APIとの認証まで担う必要がありました。公式のホスト型MCPは、このインフラ層をX側が引き受けることで、開発者が本来のプロダクト開発に集中できるようにする狙いがあります。

2つのMCPサーバーと主な機能

https://docs.x.com/tools/mcp

Xは用途の異なる2つのMCPサーバーを提供しています。

サーバー URL 役割
X MCP https://api.x.com/mcp X APIの200以上のエンドポイントをMCPツールとして呼び出す
Docs MCP https://docs.x.com/mcp X APIドキュメントの検索とページ取得

X MCPでは、投稿の取得、フルアーカイブ検索、ユーザー検索、ブックマーク管理、トレンドやニュースの取得、Articlesの下書き作成と公開などが利用できます。ストリーミングやWebhook系のエンドポイントは対象外です。Docs MCPでは search_x でドキュメントを横断検索し、get_page_x で個別ページの全文を取得できます。

ホスト型MCPはX APIの能力そのものを増やすものではありません。既存の読み取り系機能をAIアプリから呼び出しやすくするための接続レイヤーです。Xはリアルタイムの情報ネットワークとして、AIエージェントからのデータ参照先になりやすい位置づけを狙っています。

接続方法の概要

https://docs.x.com/tools/mcp

X MCPへは、オープンソースの xurl ブリッジ経由で接続するのが基本です。xurl はOAuth 2.0の認証とトークン更新を担い、各リクエストにBearerトークンを付与して https://api.x.com/mcp へ転送します。

接続の流れは次のとおりです。

  1. X Developer PortalでOAuth 2.0有効のアプリを作成する
  2. リダイレクトURIに http://localhost:8080/callback を登録する
  3. CLIENT_IDCLIENT_SECRET をMCPクライアントの設定に記載する
  4. npx -y @xdevplatform/xurl mcp https://api.x.com/mcp でブリッジを起動する

初回起動時はブラウザでXへのログインが求められ、トークンは ~/.xurl にキャッシュされます。以降は自動更新されるため、毎回ログインする必要はありません。初回ログインの完了を待つため、MCPクライアントの起動タイムアウトは300秒以上に設定する必要があります。ヘッドレス環境では xurl auth oauth2 --headless で事前認証できます。

読み取り専用で十分な場合は、App-only Bearerトークンを Authorization ヘッダーに付けて https://api.x.com/mcp に直接接続する簡易ルートも用意されています。ユーザー文脈での操作やブックマーク・Articlesの書き込みには、OAuth 2.0のフルルートが必要です。

Cursorでの設定例

プロジェクト直下の .cursor/mcp.json に次の設定を追加します。

{
  "mcpServers": {
    "xapi": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@xdevplatform/xurl", "mcp", "https://api.x.com/mcp"],
      "env": {
        "CLIENT_ID": "YOUR_X_APP_CLIENT_ID",
        "CLIENT_SECRET": "YOUR_X_APP_CLIENT_SECRET"
      }
    },
    "x-docs": {
      "url": "https://docs.x.com/mcp"
    }
  }
}

Cursorの設定画面でMCPサーバーが有効になれば、エディタ内のAIからX APIの呼び出しとドキュメント参照を同時に行えます。Claude Desktop、Grok Build、VS CodeのAgentモードでも同様の構成が公式ドキュメントに記載されています。

従来の自作MCPとの違い

X Developer Platformは、OpenAPI仕様からMCPツールを生成するローカルサーバー xdevplatform/xmcp も公開しています。こちらはPython環境で自前ホストし、トンネル経由でリモートクライアントから接続する運用が前提です。

ホスト型MCPとの違いは、インフラの管理主体です。自作方式ではサーバーの起動、認証フローの実装、トークン管理、デプロイ先の確保まで開発者が担います。ホスト型では api.x.com/mcp が常時稼働し、ローカルに必要なのは xurl ブリッジだけです。APIのスコープやレート制限のルール自体は変わりません。

自動投稿はできない

連携のハードルが下がると、AIによる自動投稿やスパムへの懸念が出ます。XはTechCrunchに対し、ホスト型MCPはWrite APIエンドポイントと互換性がなく、自律的な投稿はできないと明言しています。通常のタイムラインへの投稿機能はMCP経由では使えません。

一方、公式ドキュメントではブックマーク操作やArticlesの下書き・公開など、限定的な書き込み系ツールがホスト型MCPに含まれています。いずれもユーザーのOAuth権限の範囲内で動作し、X APIの利用規約とスパム検知の対象です。

2026年に入ってから、XはAPI v2でLLM生成スパムへの対策を強化しています。プログラムによる返信は、元投稿の作者がアカウントをメンションするか引用した場合に限られます。料金面でも投稿は1件あたり0.015ドル、URL付き投稿は0.20ドルに値上げされ、悪用のコストを上げる方針です。ホスト型MCPはこれらの制限を迂回する仕組みではなく、既存APIの上にMCPという標準インターフェースを載せたものにとどまります。

開発者にとける意味

Xのホスト型MCPは、AIエージェント時代のプラットフォーム連携を標準化する動きの一環です。200以上のAPIエンドポイントがMCPツールとして呼び出せるため、トレンド監視、ユーザー調査、ニュース分析といった読み取り中心のワークフローを、ClaudeやCursor上で組み立てやすくなります。

接続コストが下がっても、認証情報の扱いとレート制限への配慮は開発者側の責任です。CLIENT_SECRET~/.xurl のトークンを設定ファイルに直書きせず、必要最小限のスコープを持つ専用アプリを使うことが公式ドキュメントでも推奨されています。Docs MCPと組み合わせれば、エンドポイント仕様の確認とAPI呼び出しを同じAIセッション内で完結できる点も、実装速度の面で利点になります。