暗号資産の自動売買は、コードを書ける人だけの領域ではなくなりつつあります。

2026年7月2日、Solana向けトレードAPI「PumpApi」が「PumpAPI Agent」を発表しました。自然言語で戦略を伝えるだけで、バックテストからボット生成、24時間稼働までを一気通貫で扱えるAIエージェントです(参考)。

この記事では、発表内容と、PumpApiプラットフォームが持つ既存機能との関係を整理します。

この記事でわかること

  • PumpAPI Agentが解決する課題と主な機能
  • バックテスト・ボット生成・24時間稼働の仕組み
  • 事前搭載スキルと対応AIモデルの位置づけ
  • 従来のPumpApi API利用との違い

コード不要でトレードボットを組み立てられる

Pump.funやRaydium、Meteora上のトークン取引を自動化するには、これまでAPIを叩くスクリプトを自分で書き、サーバーを用意し、データ取得と注文実行をつなぐ必要がありました。PumpApiの公式ドキュメントでも、Trade APIへのPOSTリクエストやウォレットの秘密鍵設定など、開発者向けの手順が前提になっています(参考)。

PumpAPI Agentは、この工程をAIエージェント側に寄せます。発表では「コードを書かなくてもトレードボットを作れる」と明言されており、戦略のバックテスト、ボットの生成、24時間稼働までをエージェントが担う設計です。ユーザーは取引ロジックを自然言語で指示し、実装と運用を任せる形になります。

発表された主な機能

https://pumpapi.io/

PumpApi公式のX投稿で示された機能は次のとおりです。

  • バックテスト — 戦略を過去データに当てて検証する
  • ボット生成 — 検証後のロジックを実行可能なボットとして書き出す
  • 24時間稼働 — ボットを常時動かし続ける
  • 事前搭載のPumpApiスキル — PumpApi APIの操作をエージェントが直接呼び出せる
  • 複数AIモデル対応 — Claude Fable 5を含む主要モデルに対応
  • 専用サーバーでの稼働 — オンライン上の自前サーバーで動作し、ユーザーのローカル環境に依存しない

「スキル」とは、AIエージェントが外部ツールやAPIを呼び出すための機能単位です。PumpAPI AgentにはPumpApi向けのスキルが最初から入っており、買い・売り・データ取得などの操作をエージェントが直接実行できる状態で始められます。

Claude Fable 5はAnthropicが2026年に公開した長時間のエージェント作業向けモデルで、複数ステップにわたる計画とツール呼び出しを想定した設計です(参考)。トレードボットの生成と継続運用は、まさにこの種の長時間タスクに該当します。

バックテスト基盤はHistorical Replayが支える

PumpAPI Agent単体のバックテスト画面の詳細は、現時点では発表投稿のみです。ただし、親となるPumpApiプラットフォームにはバックテスト向けの公式機能がすでに存在します。

「Historical Replay」は2026年4月18日以降、Data Streamが発するイベントを1時間単位のアーカイブとして保存する仕組みです。圧縮ファイルは replay.pumpapi.io から取得でき、1時間あたり約400MB(解凍後約2GB)のイベントデータが含まれます(参考)。PumpApi公式サイトでも「戦略のバックテストが簡単にできる」と謳っており、Agentのバックテスト機能はこのデータ基盤と連動する可能性が高いです。

バックテスト時の注意点も公式に示されています。pump.funなどのAMMでは取引の多くがJito Bundlesという複数トランザクションの一括実行で送られており、リプレイデータ上では同一トークンへの取引が1〜3ミリ秒以内に集中しているグループをバンドルとして扱う必要があります。実運用より楽観的な結果にならないよう、レイテンシのバッファを大きめに取ることも推奨されています。

24時間稼働とサーバー配置の意味

発表では、PumpAPI Agentが「オンライン上の自前サーバー」で動くと説明されています。従来、PumpApiのAPIを使うボットはユーザーがVPSなどを借りて自前でホストするのが一般的でした。公式FAQでも、ボット運用時はフランクフルト近郊のサーバー配置が推奨されており、アメリカからだと最大200msの遅延が生じると記載されています(参考)。PumpApiのサーバーはSolana RPCインフラに近いフランクフルトに置かれています。

Agentが専用サーバーで稼働する設計は、インフラ選定と常時起動の手間をユーザーから取り除く狙いと読めます。ボットの生成だけでなく、24時間の連続稼働までワンストップで提供する点が、従来のAPI直利用との大きな違いです。

従来のPumpApi APIとの関係

PumpApiは、pump.fun、Raydium Launchpad(Bonk含む)、Meteora Launchpad(Bags、moonshot含む)、PumpSwap、Raydium CPMM、Meteora DAMM V1/V2など複数プール向けのトレードAPIです。取引手数料は0.25%、Data Streamは無料で提供されます(参考)。

API単体では、買い・売り・トークン作成・送金などを POST https://api.pumpapi.io に送る形式です。複数操作を1トランザクションにまとめる「Actions」や、最大5トランザクションを原子的に実行する「Jito Bundles」も用意されています。これらは開発者がリクエストを組み立てて呼び出す前提の機能です。

PumpAPI Agentは、このAPI群をスキルとして内包し、AIが代わりに呼び出すレイヤーに位置します。APIの速度や手数料体系はそのまま活き、ユーザーはコードを書かずに同じ取引インフラへアクセスできる構図です。

名前が似る別プロジェクトとの区別

検索すると「PumpAgent」(pumpapi.markets)という別サービスも見つかります。こちらはJupiter経由のスワップやリスクスコアリングを提供するPumpFun向けターミナルで、npmパッケージ getpumpagent として配布されています。運営元も機能も異なり、今回発表されたPumpAPI Agentとは別物です。混同しないよう注意が必要です。

現時点で分かっていることと未公開の部分

2026年7月2日の発表時点で公開されているのは、機能概要を示すX投稿とデモ動画です。料金体系、利用開始方法、対応モデルの全一覧、エージェントの具体的な操作画面は、まだ公式サイト上では確認できません。PumpApiはTelegramグループで機能更新を告知しているため、詳細は今後そちらで出る見込みです(参考)。

それでも、発表内容だけでも実用性の方向性は明確です。バックテストで戦略を検証し、生成したボットを24時間動かすまでをノーコードで完結できる点は、Solana上のミームコイン取引に関心を持つ非エンジニア層にも届く設計です。PumpApiがすでに持つ高速取引APIとHistorical Replayのデータ基盤と組み合わさることで、従来はコードとサーバー管理が壁だった領域に、AIエージェントという新しい入口が開いたと言えます。