AIエージェントがドキュメントを読み込む時代に、サイト側はどう対応すればいいか。個人開発者のAlex Carrabreが公開したNext.jsドキュメントスターターは、llms.txt・MCPエンドポイント・AIチャットをまとめて実装し、Vercelの無料プランでそのまま動く。

この記事でわかること:

  • llms.txtとMCPエンドポイントがなぜドキュメントサイトに必要か
  • carrabre/docs-templateの主な機能と導入手順
  • Mintlifyなどの有料サービスとの違い

ドキュメントサイトを作る手段はいくつかある。GitBook、MintlifyなどのSaaSを使えば短時間で整ったサイトが立ち上がるが、月額費用がかかる。一方でドキュメントをGitHubに置くだけでは、AIエージェントからの検索やコンテキスト読み込みには対応できない。

carrabre/docs-templateはこの課題に対して、無料で使えるNext.jsのスターターキットとして解答を出している。

llms.txtとMCPエンドポイントが必要な理由

LLMはウェブサイトのHTMLを直接読むのが苦手だ。ナビゲーション、広告、JavaScriptが混在したHTMLを解析してもコンテキストウィンドウを大量に消費する割に、得られる情報の質は低い。

この問題を解消するために提唱されたのが/llms.txtという標準規格だ。fast.aiのJeremy Howardが2024年9月に提案したもので、サイトのルートに置いたMarkdownファイルにドキュメントの概要とリンクをまとめておくことで、LLMがサイトの全体像を効率よく把握できる。robots.txtがクローラー向けの案内であるように、llms.txtはLLM向けの案内と位置づけられている。

MCPエンドポイントはそれに加えて、Claude CodeやCursorなどのエディタからMCPクライアント経由でドキュメントを直接検索・取得できる仕組みを提供する。ドキュメントを書いた後、開発者はエディタ内から「このAPIの使い方は?」と直接問い合わせられる。

carrabre/docs-templateの主な機能

ローカル検索Command+K(Mac)またはCtrl+K(Windows)でその場で検索できる。外部の検索サービスへの依存はない。

AIアシスタント:OpenAIのAPIキーを.env.localに設定すると、サイト内にAIチャット機能が使えるようになる。デフォルトのモデルはgpt-5.4-mini。APIキーがなくても、検索・Markdown出力・MCPはすべて動作する。

llms.txtとMarkdown出力/llms.txt/llms-full.txtが自動生成される。各ページのURLに.mdを付けると、そのページのMarkdown版が返ってくる仕様で、LLMがページ内容を直接読み込みやすい。

MCPエンドポイント/mcpルートが組み込まれており、MCP対応のAIツールからドキュメントの検索とページ取得ができる。エディタとの連携を前提とした設計だ。

設定の一元管理site.config.ts一箇所でサイト名、ナビゲーション、テーマ、AIアシスタントのラベル、MCPサーバー名などをまとめて管理できる。

導入手順

GitHubからリポジトリをフォークし、ローカルでnpm installnpm run devを実行すれば立ち上がる。Vercelへの公開時は、環境変数としてNEXT_PUBLIC_SITE_URLを設定する。AIチャットを有効にしたい場合のみOPENAI_API_KEYを追加する。

ページはMDXファイルで管理する。ファイルにYAMLフロントマターでタイトルと説明を書き、site.config.tsのナビゲーション設定にスラッグを追加すれば、サイドバー・検索インデックス・llms.txtに自動で反映される。

Mintlifyなどとの違い

Mintlifyはドキュメント特化のSaaSで、デザインが洗練されておりセットアップも速い。ただし一定のトラフィックを超えると有料プランへの移行が必要になる。GitBookも同様の構造だ。

carrabre/docs-templateはその代わりとして、Vercelの無料Hobbyプランで動く自前ホスティングを実現する。llms.txtとMCPエンドポイントは既存の有料ドキュメントサービスではまだ標準対応していない部分であり、ここに明確な差がある。コードはMITライセンスで公開されており、自由に改変して使える。

自前ドキュメントにAI対応を加える選択肢として

AIがウェブサイトを読むための規格(llms.txt)と、エディタとの連携手段(MCP)を備えたドキュメントサイトは、今後の開発ワークフローでより重要になる。carrabre/docs-templateはその両方を無料で実装できるスターターとして、個人プロジェクトやOSSのドキュメント公開に使える実用的な選択肢だ。