AIエージェントが映画解説動画の制作工程をすべて自動で処理できるようになった。
narrator-ai-cli-skill は、Claude Code や OpenClaw などのAIエージェントに映像制作ワークフローを習得させるオープンソースのスキルファイルだ。インストール後は「『ショーシャンクの空に』のナレーション動画をコメディスタイルで作って」と一言伝えるだけで、映画の選定からスクリプト生成、BGM選択、声優割り当て、動画合成まで全工程をエージェントが担う。
この記事でわかること:
- CLIとスキルファイルの2層構成と役割の違い
- 93本の映画素材・146曲のBGM・63種類の声優など内蔵リソースの全容
- Claude Code・OpenClaw・Windsurf へのインストール手順
- 2つのワークフロー(オリジナル解説と二次解説)の違い
- APIキーの取得方法と現在の制限
CLIとスキルファイルの2層構成
narrator-ai-cli-skill は単独では動かない。動作には2つのコンポーネントが必要だ。
CLI(narrator-ai-cli) がコマンドを実行する実装層で、映画の検索、素材の選択、動画の生成依頼、完成URLの取得といった実際の処理を担う。Python 3.10以上と pip があればインストールできる。
スキルファイル(SKILL.md) がCLIの使い方をAIエージェントに教える仕様層だ。利用できるコマンド、処理フロー、エラーコードへの対処法、コスト見積もりの手順など、AIがCLIを正しく操作するために必要な知識がすべて記述されている。
この関係は「レシピ本(スキル)と調理器具(CLI)」で表せる。エージェントはレシピ本を読んで調理器具を使いこなす形だ。スキルファイルさえ用意すれば、対応するCLIツールをエージェントが自律的に扱えるようになるという設計は、動画制作以外の用途にも転用できる汎用パターンとして注目に値する。
AIエージェントへのインストール
各エージェント環境へのインストールは、スキルのディレクトリにリポジトリをクローンするだけだ。
OpenClaw の場合:
mkdir -p ~/.openclaw/skills
git clone https://github.com/NarratorAI-Studio/narrator-ai-cli-skill.git \
~/.openclaw/skills/narrator-ai-cli
Claude Code の場合:
mkdir -p /path/to/your/project/.skills
git clone https://github.com/NarratorAI-Studio/narrator-ai-cli-skill.git \
/path/to/your/project/.skills/narrator-ai-cli
Cursor の場合:
git clone https://github.com/NarratorAI-Studio/narrator-ai-cli-skill.git \
/path/to/your/project/.cursor/rules/narrator-ai-cli
WorkBuddy や QClaw(Tencent系)は、SKILL.md と references/ フォルダをUIからアップロードして使う。Windsurf の場合はCLIリポジトリのURLを直接渡せばスキルファイル不要で動作する。
CLI本体のインストールは pip で行う。
pip install "narrator-ai-cli @ git+https://github.com/NarratorAI-Studio/narrator-ai-cli.git"
2つのワークフロー
スキルは2種類の制作フローに対応している。
オリジナル解説(Original Narration) は速さとコスト効率を優先したフローだ。処理は「映画選択 → スクリプト高速生成 → クリップデータ生成 → 動画合成」の順に進む。よく知られた映画を対象にするときに適している。さらに3つのモードがある。Hot Drama(人気作品)、Original Mix(オリジナル音声とナレーションを混合)、New Drama(短編や情報が少ない作品向け)だ。
二次解説(Adapted Narration) は既存の人気解説スタイルを参考にした制作フローだ。「スタイル学習 → 執筆 → クリップデータ → 動画合成」の流れで、より完成度の高い解説動画を出力する。
どちらのフローも最後に Magic Video 処理(オプション)を追加できる。エージェントはどのフローを選ぶかを会話の文脈から判断し、必要なパラメータを確認しながら進める。
内蔵リソースの全容
プラットフォームには動画制作に必要な素材が最初から揃っている。
| リソース | 数量 |
|---|---|
| 映画素材 | 93タイトル |
| BGMトラック | 146曲 |
| 声優(ナレーション) | 63種(11言語対応) |
| 解説スタイルテンプレート | 90種以上(12ジャンル) |
声優は日本語を含む11言語に対応している。スタイルテンプレートはアクション、コメディ、スリラーなど12のジャンルに分類されており、映画の雰囲気に合わせて選べる。
スタンドアロン機能として音声クローニングとTTS(テキスト読み上げ)も単体で利用できる。また、narrator-ai-cli material list などのコマンドで素材の一覧を確認できる。
対応プラットフォーム
v1.0.0の時点で動作確認済みのAIエージェント環境は次の通りだ。
| プラットフォーム | 備考 |
|---|---|
| OpenClaw | スキルディレクトリにクローンして利用 |
| Windsurf | CLIリポジトリのURLのみで自動認識 |
| Claude Code | プロジェクトの .skills ディレクトリに配置 |
| Cursor | .cursor/rules ディレクトリに配置 |
| WorkBuddy / QClaw(Tencent) | UI経由でアップロード |
| 有道Lobster / 元気AI | スキルディレクトリにクローンして利用 |
APIキーの取得と現在の制限
Narrator AI のサービスを使うには、CLIにAPIキーを設定する必要がある。
narrator-ai-cli config set app_key <your_api_key>
APIキーはメール(merlinyang@gridltd.com)かWeChatのQRコードから申請する形式で、公開サインアップページは現時点では用意されていない。プラットフォーム自体は中国のスタートアップ Grid Ltd. が運営しており、用意されている映画素材93タイトルの多くは中国語圏のコンテンツだ。
声優ラインナップは日本語を含む11言語に対応しているが、日本映画の素材対応状況は公式ドキュメントに明記されていない。スキルファイル・CLIともにコードはMITライセンスで公開されており、OSSとしての透明性は確保されている。
まとめ
narrator-ai-cli-skill は、AIエージェントに映像制作ワークフロー全体を委ねるという新しいアプローチを示したツールだ。SKILL.md によってエージェントが複雑なAPIを自律的に操作できる構造は、動画制作以外の分野にも転用できる設計パターンとして参考になる。
APIキーの申請が必要で、映画素材が中国語圏コンテンツ中心という点は現状の制約だ。一方で、11言語の声優対応やMITライセンスによる公開方針から、今後の拡充が期待できる。スキルファイルを通じてAIエージェントに新しい能力を与える仕組みに関心があれば、まずリポジトリの SKILL.md を読むことで設計思想を把握できる。