AIコーディングエージェントはコードを速く書けますが、UIは紫のグラデーションやバウンスアニメーションなど「AIっぽい見た目」に偏りがちです。2026年6月26日、AIエージェント向けのデザインエンジニアリングシステム「ui-craft」がv1.0.0を公開しました。Claude Code専用のスキルから、Go製CLIインストーラ付きのクロスハーネス対応システムへと進化しています。
この記事では、ui-craft v1の変更点と、複数のAIコーディング環境でUI設計の「センス」を導入する方法を解説します。
- ui-craft v1で何が変わったか
- インストール手順と対応環境
- スキル・MCPゲート・レビューエージェントの3層構成
- 既存のインストール方法との違い
v1で何が変わったか
https://github.com/educlopez/ui-craft
開発者のEdu Calvo氏は、2026年6月29日のX投稿で「Claude Code専用スキルから本格的なシステムへ数週間かけて作り上げ、v1をリリースした」と述べています。v1.0.0のリリースノートによると、ui-craftは「インストールするスキル」から「インストールするシステム」へと位置づけが変わりました。
最大の変更点は、Go言語で書かれた単一の静的バイナリ「ui-craft」CLIの登場です。このCLIがClaude Code、Cursor、Codex、Gemini、OpenCodeの5種類のAIコーディング環境(ハーネス)を自動検出し、各環境のネイティブ設定にスキル、コマンド、MCPゲート、レビューエージェント、デザインメモリを一括で書き込みます。インストール時にNode.jsは不要です。
配布はHomebrew(macOS/Linux)とScoop(Windows)に対応。macOS/Linuxでは brew install --cask educlopez/tap/ui-craft でバイナリを入れ、続けて ui-craft install を実行する流れになります。v1.0.3(2026年6月29日)までに3回のパッチが出ており、シンボリックリンク環境でのインストール失敗なども修正されています。
なぜ「AIスロップ」対策が必要か
AIコーディングエージェントは、デザイン知識がないままUIを生成するため、グラデーション付きボタン、ALL CAPS見出し、バウンスイージングなど、どのプロジェクトでも似た見た目になりがちです。ui-craftはこれを「AIスロップ(slop)」と呼び、33ルールで検出します。
ui-craftはテンプレート集やコンポーネントライブラリではありません。レイアウト、タイポグラフィ、カラー、アクセシビリティなど31ドメインにわたる設計ルールをエージェントに注入する「デザインエンジニアリング知識」が本体です。すべてのUIは「AIが作ったとバレるか?」という問いでテストされ、バレる場合は作り直す方針を取ります。
3層構成で段階的に使える
ui-craftは用途に応じて3つのレイヤーで使い分けられます。
レイヤー1:インストールするだけ
UIの依頼を通常どおり行うだけで、エージェントが階層構造やデザイントークンを意識したUIを生成します。追加の操作は不要です。
レイヤー2:スラッシュコマンドで操作
/start でプロジェクトの状態を読み取り、22個のスラッシュコマンド(/craft、/sddesign、/finalize など)で特定の作業に集中できます。ダッシュボード構築、UI監査、仕上げなど、用途別のパスを選べます。
レイヤー3:MCPゲートとCI連携
4つのMCPゲート(check_anti_slop、tokens_lint、acceptance_bar、score_ui)と2つのレビューエージェント(design-reviewer、a11y-auditor)で、0〜100点の品質スコアを算出します。基準を下回ればブロックされ、/finalize --converge では基準を満たすまで自動で修正を繰り返します。
インストール方法
CLI経由が推奨です。macOS/Linuxでは次の2コマンドで完了します。
brew install --cask educlopez/tap/ui-craft
ui-craft install
ui-craft install は対話型TUIでコンポーネントを選択するか、--yes フラグで非対話インストールも可能です。インストール前に既存設定のバックアップを自動取得し、途中で失敗した場合はロールバックされます。
Claude Codeユーザーは、プラグイン方式も選べます。
/plugin marketplace add educlopez/ui-craft
/plugin install ui-craft
CursorやCodexなど他の環境では npx skills add educlopez/ui-craft でも導入できます。ただしv1ではCLIがライフサイクル管理の中心であり、クロスハーネス一括設定はCLIが担います。
既存インストール方法との違い
| 方法 | 対象環境 | 特徴 |
|---|---|---|
ui-craft install(CLI) |
5種すべて | MCPゲート、レビューエージェント、デザインメモリを一括設定 |
| Claude Codeプラグイン | Claude Codeのみ | MCPサーバーを自動配線、CLI不要 |
npx skills add |
Agent Skills対応環境 | スキルとコマンドのみ、MCPは手動設定 |
v1以前はClaude Code向けの体験が中心でしたが、v1でCursor、Codex、Gemini、OpenCodeにも同じ品質基準を適用できるようになりました。プロジェクトはMITライセンスで公開されており、GitHubリポジトリのスター数は68(2026年6月29日時点)です。
カスタマイズの仕組み
ui-craftはビルド前にDiscoveryフェーズを実行し、CSS変数やTailwind設定など既存のデザインシステムを分析します。デザインシステムが既にある場合はそれを尊重し、ない場合はスタイルやアクセントカラーなど4つの質問で方針を決めます。
CRAFT_LEVEL(品質の厳しさ)、MOTION_INTENSITY(アニメーション量)、VISUAL_DENSITY(情報密度)の3つの数値パラメータ(1〜10)で挙動を調整できます。Minimal、Editorial、Dense Dashboardの3つのスタイルバリアントも用意されています。
AIコーディングでUIを扱う開発者にとって、ui-craft v1は「エージェントにデザインのセンスを渡す」ための実用的な選択肢です。HomebrewかScoopでCLIを入れ、ui-craft install を1回実行するだけで、普段使っているAI環境にそのまま組み込めます。