AIエージェントと人間が同じタスクを共有する仕組みが、実用寄りのUIに近づきました。
2026年7月4日、オープンソースのタスク管理ツールFocusClawが v2026.07.03 を公開しました。開発者のEmilio Johann氏はXで、Hermesテーマの追加、タスク説明エディタの刷新、ローカルファイル添付への対応を告知しています(参考)。
この記事では、前回の公開版 v2026.6.22 から積み上がった変更点と、OpenClaw・Hermes連携を前提にした使いどころを整理します。
この記事でわかること
- FocusClaw v2026.07.03 の主な新機能と改善点
- Live/Codeエディタとローカル添付の設計思想
- OpenClaw・Hermesテーマ切り替えの仕組み
- エージェント向けAPIの強化内容
- インストール方法と料金体系
https://github.com/emiliojohann/FocusClaw
FocusClawは「エージェント用のタスク脳」
FocusClawは、SQLiteをバックエンドにしたローカルファーストのタスク管理アプリです。人間向けのWeb UIに加え、OpenClawやHermesなどのAIエージェントがHTTP経由で読み書きできるAgent Automation APIを備えています(参考)。
多くのタスクツールは人間の操作を前提に設計されています。エージェントが使う場合、UIのスクレイピングや都度のメモ連携に頼りがちで、文脈が散らばります。FocusClawはプロジェクト、タスク、サブタスク、コメント、タグ、期限、優先度、オーナーラベルを1つのスキーマにまとめ、人間とエージェントが同じ記録を参照する「第二の脳」として位置づけられています。
技術スタックはReact 19 + Vite + Tailwind CSSのフロントエンド、Fastify + SQLite + Drizzle ORMのバックエンドです。データは data/focusclaw.db に保存され、MITライセンスで公開されています。
v2026.07.03で何が変わったか
今回のリリースは、前回の公開版 v2026.6.22 以降の変更をまとめたものです。GitHubのリリースノートでは、内部開発版 v2026.6.22.1 から v2026.07.02 までの積み上げも含まれています(参考)。
目立つ変更は次の3点です。
HermesテーマとOpenClawテーマの分離
外観設定に、モード(System / Dark / Light)とテーマファミリー(OpenClaw / Hermes)を独立して選べるコントロールが追加されました。各ファミリーが独自のダーク・ライト配色を持ち、切り替え時のトランジションも整備されています。Hermesロゴやファビコンも追加され、テーマに応じてロゴが切り替わります。ライトテーマではプロジェクト名のピル表示のコントラストも修正され、視認性が上がっています。
Live/Codeエディタによるタスク説明の刷新
タスク説明は、Live(レンダリング済みMarkdownをその場で編集)とCode(生のMarkdownソースを表示)を切り替える共通エディタに作り替えられました。エージェントが生成した長文ドラフトを確認しやすいよう、編集領域も拡大されています。文字数上限は5,000文字から10,000文字に引き上げられ、サブタスクの説明も同様です。
ローカルファイル添付への一本化
添付は「Select a file」フローに統一され、ローカルパス・画像・PDF・フォルダのメタデータを保存します。ファイル本体はアップロードやコピーを行わず、元ファイルへの参照だけを保持します。タスクカードにはコンパクトなクリップアイコンが表示されます。一方、FocusClawが内容を検証できないURL添付は、アプリとAPIの両方から削除されました。
エージェント連携の強化
人間向けUIの改善に加え、エージェントがAPIを叩きやすくする変更も入っています。
タスクとプロジェクト向けに、GET /api/tasks、GET /api/tasks?workspaceId=...、GET /api/tasks?projectId=...、GET /api/projects?workspaceId=... といったJSONルートのエイリアスが追加されました。既存のプロジェクトスコープ付きルートは後方互換のため維持されています。Hermes向けドキュメントも、発見しやすいJSONルートを優先するよう更新されています。
OpenClaw連携は packages/plugin のプラグインパッケージで提供されます。自然言語で「Launch Planにスクリーンショット準備のタスクを追加して」のように指示すれば、ブラウザUIを操作せずにタスクを作成・更新できます。Hermesは同じAgent Automation APIをHTTPで呼び出す形で接続します。
なお、User・Agent・Unassignedのオーナーラベルは調整用の表示であり、タスクをAgentに割り当ててもバックグラウンド実行や自動ワークフローは起動しません。これは今回のリリースでも変わっていません。
UIとセキュリティの細かな改善
モバイルでは、カレンダー画面の「New Task」ボタンが確実にタスク作成ポップアップを開くよう修正されました。新規タスク作成時はプロジェクトを明示的に選ぶ必要があり、前回使ったプロジェクトへの自動選択は廃止されています。フィルタ条件に合わないタスクが一瞬表示されて消える問題も解消されています。
セキュリティ面では、Markdownレンダリング、インラインコード挿入、ローカル添付のオープン処理、ループバック以外からのAPI認証、暗号化バックアップのパスフレーズ要件が強化されています。暗号化エクスポートのパスフレーズは12文字以上が必要です。
使い方と料金
FocusClawはNode.js ^20.19.0 または >=22.12.0 が必要です。ローカルでの起動手順は次のとおりです。
git clone https://github.com/emiliojohann/FocusClaw.git
cd FocusClaw
npm install
./start.sh
デフォルトではWebアプリが http://127.0.0.1:5173、APIが http://127.0.0.1:3001 で起動します。既存ユーザーはリポジトリを更新し、上記と同様に ./start.sh で再起動すれば v2026.07.03 の変更を反映できます。
料金はセルフホスト版が無料です。公式サイトでは「Free forever for self-host」と明記され、プロジェクト数・タスク数・Agent Automation APIの利用に制限はありません。将来のマネージドクラウド版(月額$9.99予定)は「Coming soon」扱いで、セルフホストの無料提供は継続される方針です。
複数デバイスからアクセスしたい場合は、Tailscale Serveを使ったプライベート公開にも対応しています。./start.sh --tailscale で起動すると、Tailnet内のHTTPS URLからWebアプリに接続できます。APIはループバックのまま維持されるため、インターネットへの直接公開は不要です。
LinearやAsanaとの違い
LinearやAsanaは人間向けのSaaS型タスク管理が中心です。FocusClawはローカルファーストで、Agent Automation APIを通じてエージェントが同じタスクレコードを読み書きできる点が異なります。OpenClawやHermesを使わなくても単体のタスクアプリとして動作しますが、エージェント連携を前提に設計されているため、AIツールと並行して作業する開発者に向いています。
エージェント運用を見据えた選択肢として
FocusClaw v2026.07.03は、見た目のカスタマイズ、長文説明の編集、ローカル添付、APIの発見性といった実務で効く改善をまとめて届けています。100%オープンソースのまま、OpenClawとHermesの両方と連携できる点も変わりません。AIエージェントにタスクの文脈を渡し続けたい人にとって、ローカルで動く構造化タスク層として試す価値があるアップデートです。