ゲーム機の値上げが、半導体サプライチェーンの問題として再び注目を集めています。

この記事では、2026年8月1日から始まるXbox本体の価格改定の内容と、AppleやSonyが同じ理由で値上げを続けている背景を整理します。

この記事でわかること

  • 512GBモデルと1TBモデルそれぞれの値上げ幅と、改定後の米国価格
  • AIデータセンター需要がRAM(メモリ)不足を招いている仕組み
  • Microsoftが本体値上げと同時に打ち出した購入支援プログラム
  • Game Pass値下げとの対比が示す、Xbox事業の方向性

https://news.xbox.com/en-us/2026/06/25/xbox-console-price-update/

512GBは100ドル、1TBは150ドルの値上げ

Microsoftは2026年6月25日、Xbox本体の価格改定を発表しました。改定は2026年8月1日から全世界で適用されます。

512GBモデルは100ドル、1TBモデルは150ドル値上げされます。2TBモデルは販売終了(サンセット)となります。The Vergeの報道によると、改定後の米国価格は次のとおりです(参考)。

  • Xbox Series S:499.99ドル
  • Xbox Series X(ディスクドライブなし):749.99ドル
  • Xbox Series X(ディスクドライブ付き):799.99ドル

2025年10月には20〜70ドルの値上げがあり、今回で米国では13か月以内に3度目の改定となります。GB Newsの報道では、一部モデルは1年前比で約40%高くなったと指摘されています(参考)。

2020年11月の発売時、Series Sは299ドル、Series Xは499ドルでした。5年経った今、エントリーモデルでも500ドル前後が標準になろうとしています。

AI需要がRAM価格を押し上げ、ゲーム機が直撃を受ける

Microsoftは公式声明で、値上げの主因を「コンソール向けストレージとメモリの価格が2.5倍以上に上昇したこと」と説明しています。2027年秋までにさらに2倍になる見込みも示されました。

RAMは、スマートフォンやPC、ゲーム機など現代の電子機器に欠かせないメモリチップです。AI(人工知能)のデータセンター建設が加速する中、メモリメーカーは利益率の高いサーバー向けチップの生産を優先しています。その結果、ゲーム機向けの供給が逼迫しています。

BBC Newsの分析では、2025年10月から2026年初頭にかけてRAM価格が2倍以上に跳ね上がったと報じられています(参考)。メモリ大手MicronのCEO Sanjay Mehrotraは、2028年に向けて供給は改善する見通しでも、需要に追いつく時期は見えていないと投資家向け説明会で述べています。

Microsoftは「スマートフォンやPCと違い、ゲーム機は原価割れで販売されることが多い」とも説明しています。メモリ単価が上がれば、赤字幅が広がり、値上げなしでは事業を続けにくい構造です。

AppleとSonyも同じ波に乗せられている

Xboxだけの問題ではありません。2026年6月25日、AppleはMacやiPadの価格を引き上げました。512GB MacBook Airは1,099ドルから1,299ドル、128GB iPad Airは599ドルから749ドルへと値上げされています。Appleは声明で「AIデータセンターの急拡大により、メモリとストレージへの需要が急増した」と説明しています(参考)。

Sonyも2026年4月2日からPlayStation 5の価格を改定しました。米国では100ドル値上げされ、通常版PS5は649.99ドル、PS5 Proは899.99ドルです(参考)。Sonyも1年未満での2度目の値上げとなり、理由として「メモリチップなど主要部品のコスト上昇」を挙げています。

The Vergeは、Microsoft Surface、Nintendo Switch、Meta Quest 3、Framework PCなど、RAM不足の影響で値上げが広がっていると整理しています(参考)。

本体は値上げ、Game Passは値下げという二面性

価格改定の発表は、Game Pass値下げから約2か月後のタイミングです。2026年4月21日、MicrosoftはGame Pass Ultimateを月29.99ドルから22.99ドル、PC Game Passを月16.49ドルから13.99ドルへ引き下げました(参考)。英国ではUltimateが月22.99ポンドから16.99ポンドに下がっています。

2026年2月にXbox CEOに就任したAsha Sharmaは、内部メモで「Game Passはプレイヤーにとって高すぎた」と認めていました。The Vergeが報じたこのメモは、サブスクの値下げにつながった背景として広く引用されています。

一方、ハードウェアは部品コストの押し上げをそのまま価格に反映せざるを得ない状況です。本体の値上げとサブスクの値下げは、Microsoftが「ハードの原価」と「ソフトの継続課金」を別々に調整していることを示しています。

値上げを和らげる購入支援プログラム

Microsoftは値上げと同時に、購入しやすくする施策も発表しました。

  • Buy Now, Pay Later:Microsoft Storeで対象ハードウェアを短期間の無利息分割払いで購入
  • 無利息分割:最大12か月、年利0%の分割払い(地域や提携先により条件は異なる)
  • 中古本体の流通:小売店と連携し、下取りした本体を低価格で再販
  • 認定再生品:Microsoft Storeの認定再生品を定価から最大100ドル引きで提供

いずれも全世界で同じ内容がすぐ使えるわけではなく、地域ごとに条件が異なります。値上げ前に購入を検討する場合、8月1日以前の在庫が残っている店舗を確認する価値はあります。

ゲーム機市場に何が起きているか

Xboxの今回の値上げは、単なるゲーム機の値段変更ではありません。AIインフラ投資がメモリ市場を占有し、発売から5年経った現行世代のゲーム機まで波及している事例です。

Microsoft自身もAIデータセンターに巨額投資する一方で、Xboxという消費者向け製品の原価を吸収できなくなっています。2027年秋までにメモリ価格がさらに2倍になる見通しが示されている以上、次の値下げを待つより、購入タイミングと支払い方法を早めに検討したい局面です。