広告のクリエイティブ制作・配信・効果測定を、AIエージェントがひとりで回す。そんな自動化ワークフローが2026年5月、開発者のSimon Høiberg氏によって公開されました。
Høiberg氏がXに投稿した内容によると、OpenClawエージェントがUGC(ユーザー生成コンテンツ)風の動画広告を自動生成し、YouTube・Facebook・Instagramへの配信、キャンペーンのエンドツーエンド監視、そして広告バリアントの生成と実験立ち上げまでを一貫して担っています。
この記事でわかること:
- Høiberg氏が構築した広告自動化ワークフローの全体像
- Replicate・Genviral・Meta Ads・Google Adsを組み合わせる仕組み
- 自己改善ループが広告運用にどう機能するか
- 同様のパイプラインを構築するために必要なもの
https://x.com/SimonHoiberg/status/2052632845588267514
OpenClawとは
OpenClawはPeter Steinberger氏が開発した自律型AIエージェントです。デバイス上でローカルに動作し、Telegram・WhatsApp・Discordなどのチャットアプリを通じて操作します。
エージェントに「スキル」と呼ばれる拡張モジュールをインストールすることで、外部サービスのAPIと連携できます。Replicate・Meta広告・Google広告のような既存のビジネスツールをOpenClawの操作対象として追加する仕組みです。GitHubで累計20万以上のスターを獲得しており、2025年11月のローンチ以降、開発者と事業者の双方から注目を集めています。
Høiberg氏の広告自動化ワークフロー
Høiberg氏のOpenClawエージェントは次の一連の業務を自律的に処理しています。
まず、ReplicateのAI動画・画像生成モデルを使ってUGC風のクリエイティブ素材を生成します。ReplicateはさまざまなAIモデルをAPI経由で実行できるクラウドプラットフォームです。テキストプロンプトや参照画像から自然な雰囲気の動画素材を生成できるため、広告クリエイティブの量産に向いています。
次に、生成した素材をMeta広告アカウントとGoogle広告アカウントに配信します。Meta側はFacebook・Instagramへの出稿、Google側はYouTubeへの配信に対応します。エージェントが各プラットフォームの広告マネージャーAPIを直接操作するため、人が配信設定を行う必要はありません。
配信後はキャンペーンデータを継続的に取得し、パフォーマンスが低い広告を特定しながら新しいバリアントを生成・テストします。このサイクルが自律的に繰り返されます。
技術の核心:自己改善ループ
このワークフローを支えるのは「閉ループ設計」です。コンテンツ自動化プラットフォームのGenviralがOpenClaw向けに公開しているスキルも同様の設計に基づいており、その仕組みが参考になります。
GenviralのOpenClawスキルは42種類のAPIコマンドを提供し、TikTok・Instagram・YouTube・Facebook・Pinterest・LinkedInへの投稿を一元管理できます。自動化の流れは次のとおりです。
- コンテンツの生成(テキストプロンプトや画像パックから動画・スライドショーを作成)
- 複数プラットフォームへの配信(スケジュール投稿に対応)
- 分析データの取得(再生数・エンゲージメント率・フォロワー増減)
- 次回コンテンツへの反映(成績の良い形式・投稿タイミングを自動採用)
Genviralチームが自社TikTokでこのパイプラインをテストしたところ、OpenClawが最初に投稿したスライドショーは25,000回再生に到達しました(参考)。Høiberg氏のワークフローも同様の自己改善ロジックで広告バリアントを評価・選別しています。
同様のパイプラインを構築するには
この規模の自動化を個人や小規模チームが実現するには、いくつかの要素が必要です。
まずOpenClawの動作環境を用意し、ReplicateのAPIキーを取得します。動画生成モデルのコストはモデルと使用量によって異なりますが、Replicateは従量制なのでテスト段階の費用は抑えられます。
SNS投稿層にGenviralを使う場合は、月29ドルからのCreatorプランが必要です。MetaとGoogle広告の開発者アカウントを直接使う構成も可能で、その場合は各プラットフォームのAPIアクセス申請が必要になります。
GenviralのOpenClawスキルは次のコマンドでインストールできます。
npx skills add genviral-ai/skills
インストール後はGenviral APIキーを設定するだけで利用開始できます。
個人規模でも成立するスケーラブルな運用
広告業務のすべてをAIエージェントに委ねる構成は、以前はマーケティングチームを抱える企業だけの話でした。OpenClawにReplicate・Meta広告API・Google広告APIへのアクセス権を与えることで、個人や小チームが同等の運用サイクルを回せるようになっています。
制作コストの高いUGC風クリエイティブを量産し、パフォーマンスデータで継続的に改善する——このサイクルを人手ゼロで持続させることが、2026年時点で現実的な選択肢になっています。